「インテンシブ英語e-ラーニング講座」(ぎゅっとe)にようこそ

「英語を知っている」から「英語が使える」へ

「インテンシブ英語e-ラーニング講座」に興味をもっていただき、ありがとうございます。

本講座で使用する英語e-ラーニングシステム(ぎゅっとe)は、もともとは大学生向けに、広島市立大学教員の青木信之(2024年退官)と渡辺智恵が、北辰映電株式会社及び有限会社光琳館と産学連携で開発したものです。

長年の教育経験を通して、私たちは多くの日本人学習者が「英語を知っている」にもかかわらず、「英語が使える」状態に到達できていない現実を痛感してきました。短い新聞記事を読むのに30分以上かかったり、言われたことを一度で聞き取れなかったり、言いたいことが瞬時に出てこない——それは単に知識不足ではなく、知識が使えるレベルにまで熟達していないことを意味しています。

この講座は、そんな悩みを抱える英語学習者に向けて、「使える英語」への突破口を提供するために設計されました。


英語学習に必要な「熟達化」とは

英語はスポーツや楽器と同じく、スキルです。
知識を「使える」ものに変えるには、熟達化が必要です。熟達化には「手際の良い熟達化」や「適応的熟達化」などそれぞれにレベルがありますが、スキルにおいてまず到達しなければならないのが、「手際の良い熟達化」です。「手際の良い熟達化」には2つの要素があります。それは、

  • 自動化(考えずとも素早く処理できるようにすること)
  • チャンク化(情報をより大きな単位でまとめて処理できるようにすること)

この二つが不可欠です。

自動化とは、例えば、車の運転に慣れれば、意識せずに運転できるようになることです。
また、チャンク化とは将棋の名人が盤面全体をまとめて「一つのイメージ」として記憶し処理できるように、単語より句、またそれ以上の「かたまり」で英語を処理できるようになるということです。

本講座では、この熟達化を意図的に促す設計を採用しています。


成果を生む「大量・集中的な学習」

熟達化を達成するには、

  • 圧倒的な学習量
  • 集中して詰める学習

が必要です。

同じ学習時間でも、だらだら続けるより、短期間に密度高く取り組むほうが、到達できるレベルは格段に高くなります。

本講座では、2ヶ月という短期集中型で、大量の英語に「取り憑かれたように」浸かる学びを提案します。

リスニングやリーディングといった受容技能については、膨大な学習を集中的にこなすことによって、英語の知識の質的変換を起こそうというものです。

一方で、スピーキングやライティングといった発表技能については、一般的に「とにかく英語でコミュニケーションをすることによって話せるようになる」という話がよくされます。

しかし、もしあなたがアメリカに住んでいて、外に出ればいつでも英語を使う機会があるのであれば、コミュニケーションを通して自然に熟達化していくことができます。
けれども、日本のように外国語として英語を学んでいる場合、そうした豊富な機会はありません
つまり、使いながら熟達化する場がなく、発表技能についても意識的に熟達化を促す工夫が必要になります。

英語や外国語を話す場合、私たちの頭の中には2つの負荷がかかります。
1つは、「何を話すか」を考える負荷。これはもちろん、日本語で話すときも同じです。
もう1つは、「それを外国語でどう表現するか」を考える負荷です。
この2つを同時に行うことは、脳にとてつもない負担をかけるのです。

例を挙げましょう。
例えば、頭の中で2桁の足し算、たとえば「15+27」を考えるとき、多くの人はすぐに「42」と計算できます。
しかし、これが「15×27」という掛け算になると、すぐには頭の中でできず、紙と鉛筆が欲しくなりますよね。

英語を話すときも、単語を一つ一つ並べて文を作るやり方では、頭の負荷が非常に大きくなります。
そうではなく、**ある程度大きな単位のまとまった英語(チャンク)**が頭の中に入っていて、それを組み合わせたり、必要に応じて一部を変えたりして使えるようになっていると、処理が速くなり、負荷も減ります。

上でも述べたように、これをチャンク化といいます。

単語一つ一つを扱うと脳の容量を大きく取りますが、ある程度まとまった単位で覚えていれば、脳の負担は大きく節約できるのです。

将棋の名人は何百手先まで読むといわれます。
しかし彼らの脳の容量が私たちと違うわけではありません。
ではなぜ彼らがそんなに先を読めるかというと、将棋の盤面をチャンク(ひとまとまり)として記憶しているからです。
だから、大きなチャンクの組み合わせによって、とてつもない先を読むことができるわけです。

英語に関しても同じです。
**「何をどう言うか」**を考えるときには、ある程度大きな単位でインプットされていることが不可欠です。

さらにもう一つ必要なことは、それらのチャンクが瞬時に口から出るように訓練することです。

さきほども言ったように、実際には、外に出れば英語を話す機会があるわけではありませんが、インターネット上には英語で話す場もあります。しかし、実際に英語を本当のコミュニケーションとして使う場面にでると、たとえ言いたいことがあっても、ほとんどすべての人がそれを表す英語がでてこないことを実感します。
つまり、まず英語のインプットがないとアウトプットもできないのです。しかも、ある程度チャンク化されたインプットがなければ、スムーズなアウトプットはできないのです

だからこのプログラムの発表技能では、できるだけ大きな単位で英語をインプットしていくことを狙いとしています。

英語をある程度話せるようになった人たちの多くは、学生時代に

  • 英語の演説を丸暗記した
  • 映画のスクリプトを何度も何度も音読した

といった経験を持っています。

しっかりチャンク化されたインプットが土台にあり、それを引き出して組み合わせ、必要に応じてパーツを変えて使う、そういうプロセスを経て、英語が使えるようになっているのです。

*スピーキングの訓練については、「総合基礎英語(4技能)」の中に取り入れられていますが、本格的なスピーキングプログラムについては、講座の第二期(9月開講予定)に導入される予定です。

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各プログラムについて

本講座では、学習段階や目的に応じて、さまざまなe-ラーニングプログラムを提供しています。詳しくは「講座について」をご参照ください。

  • 総合プログラム(初級〜上級)
    リスニング、リーディング、文法の学習を2ヶ月で大量にこなすプログラムです。英語に対する処理能力の向上を目指します。
  • 集中プログラム(リスニング)
    総合プログラムの倍の量のリスニングをこなす2ヶ月プログラムです。リスニング力を徹底的に鍛えるためのものです。
  • 集中プログラム(リーディング)
    総合プログラムの倍の量のリーディングをこなす2ヶ月プログラムです。リーディング力を徹底的に鍛えるためのものです。
  • 基礎英文法 MaG(Magnet Grammar)
    文法用語に頼らず、チャンク(語のまとまり)を並べ替える作業を通じて、自然に英語の語順・骨格を習得します。
  • 上級英文法(Advanced Grammar)
    総合プログラムの文法問題よりも一段高いレベルで、ニュアンスの違いや精密な理解を求める問題に取り組みます。
  • 総合基礎英語A
    英語が苦手な学習者向け。音声や読解を通じて、あらすじ把握から語彙・文法理解へと段階的に進みます。
  • 総合基礎英語B
    より高度な英文を扱い、内容理解・文法知識を深めながら、精緻な読解力を養成します。
  • 総合基礎英語(4技能)
    リスニングを起点に、リーディング、スピーキング、ライティングへと循環させ、英語を「使う力」を育成します。

これらのプログラムを通じて、英語を知識ではなく、スキルとして体に定着させることを目指します。

標準化テスト(CASEC)による学習効果の測定について

本講座では、受講前後に標準化された英語テストを受験していただき、学習効果を客観的に測定します。

使用するテストは、株式会社教育測定研究所が開発・運営する英語コミュニケーション能力判定テスト「CASEC(キャセック)」です。
CASECとは「Computerized Assessment System for English Communication」の略称で、インターネットに接続されたパソコン上で受験する形式となっています。

テストは次の4つの分野から出題されます。

  • 語彙の知識
  • 表現の知識
  • 大意把握(リスニング)
  • 具体情報の聞き取り(リスニング)

出題内容は、英語圏の日常生活、学校生活、ビジネス場面などに密着したシチュエーションに基づいています。
また、受験者の解答状況に応じて次の問題の難易度が変化する適応型テストであるため、個々のレベルに合った問題が出題されます。

【テスト概要】

  • オンライン受験
  • 全60問
  • 各セクション250点、合計1000点満点
  • 受験時間は平均40〜50分(最大約80分)
  • 受験直後にスコアが即時表示
  • TOEIC® L&Rスコア目安・英検®級目安も表示

受験後は、テストスコアだけでなく、講座期間中の学習データ(ログイン履歴、課題進捗、正答率など)と合わせて、学習成果に関するフィードバックレポートをお渡しします。

このフィードバックでは、単なるスコア報告にとどまらず、学習パフォーマンスを踏まえた個別アドバイスを行う予定です。

皆さんが講座期間中にどのように成長したかを客観的に把握し、今後の学びにつなげていくために、ぜひ積極的にご活用ください。

なお、本講座におけるCASEC受験については、

株式会社教育測定研究所との特別な契約に基づき、講座専用の受験枠を利用しています。

このため、通常の個人受験に比べて大幅に受験料が抑えられ、安価に受験できる特別な仕組みとなっています。

この講座専用受験は、あくまで本プログラムの一環として実施するものですが、取得されたスコアについては正式なものとして活用していただけます。

受講生の皆さんには、質の高い標準化テストを非常に負担の少ない形で活用できる機会となっていますので、ぜひ積極的にご利用ください。

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最後に

英語は一朝一夕には身につきません。
けれども、正しい方法で集中して取り組めば、確実に変わることができます。

この2ヶ月間、大げさですが、「死んだ気になって」本気で英語に浸かる時間を積み重ねてください。

必ず、自分の成長を実感できるはずです。

また本講座はZoomにより開講式及び閉講式を実施します。
開講式では、本講座の趣旨、コンセプトについて、我々自身の言葉でお話したいと思います。
閉講式ではそれぞれのプログラムの修了要件を満たした方の修了認定及び学習やCASECにおいて優秀な成績を上げられた方の表彰などを行います。(修了書及び表彰書については、PDF版でお送りします)
ちなみにこれまでの我々の講座実施経験から、各プログラムの修了者はおおよそ50%程度であり、残念ながら二人に一人は修了できない結果となっています。
ぜひみなさんとは明るい顔で(笑)、閉講式でお会いできることを願っています。皆さんが「英語を使える自分」に出会う日を、心から楽しみにしています。

広島英語教育ラボ代表 
青木 信之(広島市立大学名誉教授)

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